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いなべ総合野球部の悲願と高松商の執念~高校野球観戦記~

   

いなべ総合悲願の甲子園初勝利は目の前だった。しかし、対する高松商も負けられない理由があった。両校の想いがぶつかった一戦は今大会初の延長戦にもつれ込んだ。熱戦を制したのは、伝統を背負い、地元の期待を背負い、神宮大会制覇の実績を背負った高松商だった。逆転に次ぐ逆転、一回戦屈指の好勝負、両校の想いと、試合の感想を書いてみたい。

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いなべ総合の悲願

過去夏に1度甲子園出場の経験があるものの、未だ甲子園では未勝利のいなべ総合。昨年の夏、甲子園まであと一歩というところで、最終回に津商に3点差をひっくりかえされた

東海大会でも5年連続で出場しながらも、勝負どころでの大量失点もあり、選抜に届かなかった。しかし、今年は大垣日大、海星の強豪を降し、決勝進出。決勝ではプロ注目の東邦・藤嶋健人投手を打ち込んだ。惜しくも敗れたが、選抜初出場を決定的にした。

いなべ総合は過去の甲子園での敗退、度重なる東海大会での敗退、昨年夏の三重大会決勝での逆転負け。悔しさを力に変え、甲子園での初勝利に向けて、昨年秋の神宮大会王者・高松商に挑んだ

高松商の伝統と実績

第一回の選抜大会の優勝校である高松商。春夏計4度の全国制覇を果たし、『四国四商』の一角として高校野球ファン、香川県でも根強い人気を集める。

高松商は私学の台頭により、96年夏を最後に甲子園から遠ざかっていた。その状況を打破しようと、丸亀高OBで中学野球で多くの実績を残した長尾健司監督が就任。監督就任1年半で四国大会を26年ぶりに制し、神宮大会では大阪桐蔭、敦賀気比という全国の強豪を降して全国制覇を成し遂げた。

地元の期待も大きく大応援団が甲子園までやってきた。伝統と実績、それに地元の期待を背負った高松商も決して負けるわけにはいかない。

高松商の記事はこちら

終盤までの試合展開

序盤は投手戦の様相を呈していたが、中盤以降は逆転に次ぐ逆転。1点差でいなべ総合がリードの展開でむかえた八回表、先頭打者が高松商先発・浦大輝投手のエラーを誘って出塁。この際、浦投手が顔をしかめて、どこかを痛めたような気がした。その後、いなべ総合四番・藤井亮磨選手のタイムリースリーベースで追加点をとる。

ここまで粘りの投球をしていた高松商・浦投手に変えて美濃晃成投手がマウンドに上がる。その美濃投手から更に追加点を挙げて、終盤での3点差がつき勝負は決まったかに思えた。しかしここから高松商の執念の追い上げが始まる。

高松商20年ぶりの勝利

3点差をリードされながらも高松商の選手たちにはどことなく落ち着いた雰囲気があった。四国大会、神宮大会でも劣勢の場面は多々あった。その経験が選手たちに大きな自信を与えた。この場面でも選手一人一人が自分の為すべきことを理解していた。

八回裏、先頭打者は9球粘って四球を選ぶ。続く打者が、ツーベースヒットでノーアウト2・3塁。連続の内野ゴロの間に2点あげ、1点差とする。一見、逆転のチャンスをつぶしたかに見えるが、内野ゴロはすべてライト方向のセカンドゴロ最悪でも3塁ランナーを返すという意識が徹底されている。最終回は、上位打線に回るので1点差であれば同点のチャンスはある。各選手が最低限の仕事をして九回に繋いだ。

九回裏、1アウト後、高松商1番・俊足の安西翼選手が死球をうけ出塁する。そこでいなべ総合ベンチがタイムをとる。タイムが解けた直後の投球で安西選手がスタート、刺されれ絶体絶命の状況で盗塁をきめる。『タイムでのベンチの指示は打者に集中だから、牽制はない』と判断してのスタート。続く打者の内安打の間に俊足安西選手はホームまで到達。長尾監督が掲げる自分で考える野球が同点を呼び込んだ。

延長に入った十回表、いなべ総合の走塁ミスも絡んだが、美濃投手が3人でいなべ総合の攻撃を抑える。その裏、美濃投手が先頭で自ら決定的なスリーベースを放つ。いなべ総合バッテリーの集中が切れ、ワイルドピッチで力尽きた。この瞬間、高松商業にとって、96年夏ぶりの勝利がもたらされた。

いなべ総合

神宮王者をあと一歩まで追い詰めながらも甲子園初勝利はならなかったいなべ総合。しかし、高松商を上回る10安打を放った打撃力、山内智貴投手の力投など、光る面があった。

なんといっても、各選手の礼儀正しさは私の心を打った。いなべ総合・尾崎英也監督が掲げるスローガン『人間力で勝て』が浸透しているように思えた。

悲願の甲子園初勝利はならなかったが、さわやかな印象を残して甲子園を去った。強豪ひしめく三重県の予選を人間力で突破して、夏こそ悲願の初勝利を挙げてほしい

高松商

伝統校というプレッシャーがあったと思う、OBや地元の期待を重く感じたこともあったと思う。それを跳ね除け、絶体絶命の状況を跳ね除け高松商は勝った。

長尾健司監督は言う

「ホッとしました。我々には責任がある。多くのファンがいるんですから。甲子園には負けられない戦いがあるんだなあと痛感しました。」

勝利の立役者、美濃選手は夢だったというマウンドで躍動した。本当に楽しそうに投げていた。かつての伝統も大切だが今いる監督の指導、選手自身のプレーが新たな伝統をつくるのである。

私も根っからの高校野球ファンである。攻め込まれ、絶体絶命な場面を迎えながらも、最後には勝っている。高松商ファンに怒られるかもしれないが、その姿に私はかつての箕島高校を見ている。

高松商のこれからの活躍が楽しみでならない

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 - 観戦記